Conversation
~『男の横顔』~
冷えた缶コーヒーを2本買い、車に乗り込む。
曇り空ではあるが、たまらず車内のクーラーの温度を下げた。
8月10日土曜日。夏季休暇が始まったせいか、国道118号線を北上する車線は普段よりも交通量が多く感じる。
代表の高梨と2人でN-Vacation styleへ向っていた。
ずっと気になっていた質問をしてみる。
― 何故、N-Vacation styleを造ろうと思ったのか ―
ハンドルを握っている高梨は普段よりもやや落ち着いた感じの口調でこう答えた。
「ずっと前から・・・そうだね。ずっと前から恩返しができることを色々考えていたんだ。」
恩返し?
「そう。恩返し。今の自分があるのは様々な人たちとの繋がり、応援があったからね・・・。」
「昔の職場の上司や同僚、社会奉仕で関わっている方たち、業者さん、社員、家族。色々な人たちにお礼の意味でも造りたかったんだ。」
では、社長の周囲の方たちに使ってもらおうということですか?
「うん。大子の川沿いで良いところじゃない?夏の休暇とか。そのお世話になった人たちの家族や知人。皆にさ。泊まって寛いでもらえたら嬉しいかなってね。」
高梨の横顔を覗くと、真っすぐな瞳で前を向きながら真剣かつ、思いにふけっている表情だった。
これまでの軌跡を想い起していたのだろう。
しばし静かで穏やかな時間が流れる。
お互い缶コーヒーを口にした後、いつの間にか現場へ向かう車は大子町まで僅かな距離に達していた。
空は変わらず曇り空だったが、高梨の想いを訊いた私は何時にも増してN-Vacation styleが輝いて見えた。
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